座右の銘(裏話②)

コーチKについて

コーチKに直接会うことができたのは2003年。このチームはChris DuhonやJJ Redick、Sheldan Williamsを擁してこの年の優勝候補の一角。私がコーチ勉強をさせてもらった2週間のうち、1週間はACCのビッグゲーム(Chris PaulのいたWake Forestなど)が3試合もある週で、アシスタントコーチとは会ったり質問したりさせてもらえたけれども(三菱で友達になったAntonio Langが便宜をはかってくれました。彼に関してはまたそのうち)、さすがにコーチKとは直接話す機会は当然ありませんでした。あまりにも偉大な人なのでむしろ会いたくない、というか、自分などが簡単に会ってはいけない!といった不思議な感覚を持っていたくらいです。

結局2週間滞在した最後に見学したホームゲーム後、コーチしか入れないカメロンインドアスタジアム内の特別ルームに入れてもらってお話することが出来ました。

コーチKと。コーチの特別室にて。部屋内には往年の選手が壁一杯に飾られている。
コーチKと。コーチの特別室にて。部屋内には往年の選手が壁一杯に飾られている。


お会いした時は既に深夜12時をまわっていて、2日後に迫るアウェイゲームのために、今日の試合をこれから徹夜で分析するんだ、と話されていました。そのような忙しい時にわざわざ時間を割いてくれて、いつもテレビで観ていた人が目の前にいると思うとめちゃくちゃに緊張したのを覚えています。「うちの選手は疲れているんだよ、ショーン(ショーンはアメリカでの私のニックネーム)。次の試合は厳しい試合になるよ。」まるで、何年来の友達に話すかのようにバスケットのこと、Antonio Langのこと、コーチングのこと、デューク大学のバスケットのことを話してくれました。「挨拶だけ」と言われていたのに、15分以上付き合ってくれました。。。帰りはもらったサインボールを両手に抱えて感激と忙しい時に時間をとってもらった申し訳なさとで、泣きながら歩いていたのを覚えています。

John Wooden氏とMike Krzyzewski氏(通称”コーチK”)、二人が「自分を信じなさい」という趣旨の言葉を座右の銘にしているお話は既にしました ・・・(「座右の銘」)

簡潔ながらも二人にあった印象もどことなく似ている気がしました。二人ともファンと話すのも楽しんでいるし、”自分”を見失っていない。どんなに有名になっても、忙しくても、自然体なんです。もちろん、誰でもかれでもどんなタイミングでもあってくれる訳ではないでしょうが、それでも二人ともすごく人を大切にし、ちょっとやそっとのことはストレスに感じないのだな、と感じさせられました。

どんなに実績を残しても、どんなに歳を重ねても、あのような自然体でいられるのは素晴らしいなあ、と感じました。遠い遠い目標ですが、自分がどのようなレベルでこの先コーチをするにしても、あのように自然体で、優しい笑顔で人と接することができる人間になりたいです。