プロであるということ ~Numberより~

Numberの12/24号、「親子論。」の中で、「石川遼 父母と息子の格闘録。」という話を読みました。ゴルフは小さい頃に始めたようですが、小学校4年生くらいからは、サラリーマンのお父さんにかなり厳しく教えられていたようです。家の空気も悪くなり、弟妹が食事中に食欲を無くすくらい険悪な雰囲気な時もあったとか。なんだか読んでて涙ぐんでしまいました。

イチロー選手のお父さんのように、石川遼くんのお父さんもまた自分の趣味を辞め、仕事も最小限にして息子の夢に付き合ったようです。二人の父親に共通しているのは、「息子がやる、と決めたことを全力でサポートする(指導含め)」という態度のようです。

さて、石川遼くんのお父さんは普通のサラリーマンでゴルフに関しては特に特別な知識は無いそう(イチロー選手のお父さんも似たような感じでしたね。。。)。だから、練習態度とか、気持ちの弛みとかを厳しく怒っていたそうです。プロになりたい、といった息子に対するお父さんの態度は、

「プロは興行でもあります。高いお金を払って見に来てくれるお客さんに満足感や感動を与えなければいけない。ただ上手いだけではダメ。勝つことだけでは成り立たない。人間性も備わっていなければならない。本当に厳しい世界です。そういうことも逐一、言って聞かせましたね」(Number743より)

技術だけではダメ。人を感動させるような、人間性も必要である。。。

4年間日立でバスケットだけを職業として携わらせてもらいましたが、「プロ」というにふさわしい人格を自分は備えているのか。。。そんなことを改めて考えさせられました。

日本にはそれこそ、「プロ」というにふさわしいコーチがごまんといます。それは他ならぬ、学校の先生の方々です。いや、最近は普通の仕事をしている外部コーチの方も含めてでしょうか。自費で生徒を遠征につれていけるような、ワンボックスカーを購入したり、マイクロバスを運転できるように免許を取ったり。。。保護者との連携、お弁当の手配から、何から何まで一人でこなしている先生もいらっしゃいます。選手のために本当に「人生を賭けている」。。。そんなコーチの方を何人も知っています。だからこそ、バスケットでご飯を食べる責任は大きい。コーチだけでなく、選手も、スタッフも。

日立時代、自分のライバルはいつも、コーチ留学で一緒に時間を過ごしたユタ大学やデューク大学のアシスタントコーチ達でした。彼らは本当に朝から晩まで働く「プロ」だった。。。それこそ選手が病気になれば、ホテルを取って泊りがけで付き添うし(ホテルを取るのもすごいと思いましたが。。。)、夜遅くまでゲームフィルムを観るし、選手個人のワークアウトでは選手と同じくらい動いて、汗をかき、大声を張り上げて選手を指導する。チーム練習中も常に走り回り、声を張り上げながら、全力でヘッドコーチをサポートする。

やっているレベルや業務は全然違うかもしれないけれど、そんな彼らの「労働量」には絶対に負けないでおこうと。そうでなければ、いつか彼らと再会しても、「教えてもらった通り、一生懸命コーチをしています」と言えないと思ったから。昨年までの4年間で一生懸命やりきった感は残っていますが、「人を感動させる」くらいの人格を持っているかは、何とも言えません。もっともっともっともっと精進しなければならないんだな、と。小学校4年生から毎日そんなことを考えながら生きてきた人もいるのだな、と。これからも毎日一生懸命精進しようと思いました。今日は個人的なことばかりになってしまいました。すみません。。。

With Eric and Scott

ユタ大学のアシスタントコーチ:左がEric Jackson、右がScott Garson。不思議な縁でEricは今は友人の弟の伊藤大司選手がいるポートランド大学でアシスタントコーチをしている。コーチとして、自分が最も尊敬している人物の一人。

With Coach Schrage

デューク大学のMike Schrageアシスタントコーチ。北京五輪ではチームUSAにも携わっていました。彼もまた本当に一生懸命働くコーチの一人で、忙しい中いろいろバスケットの質問に答えてくれた恩人の一人です。