さて、前回お話した「大学バスケ界最大の謎」とも考えられていたプリンストン・オフェンス。
それを解明した一人のコーチを紹介します。
ジミー・ティレットというこのコーチは、1997年からサムフォード大学というディビジョンIながら、あまり有名では無い大学でヘッドコーチをしていた人物です。
彼は以前ご紹介したように、「1シーズンに1つ」新しいことを学ぶ、という勉強法を忠実にこなしていたコーチの一人で、彼の勉強方法は「1シーズンに1チームを分析する」という物だったそうです。あるオフシーズンに彼はプリンストン大学を、勉強の対象として選び、毎日6時間試合のテープを観て(これも以前紹介した「試合を観る」という勉強法に通じますね!)、99ページにものぼるメモを残したそうです。その99ページをもう一度見直してまとめ、35ページのノートにまとめた結果、彼はピート・キャリル・コーチに認められ、直接教えを乞うことが出来たそうです。
彼は1998年~1999年シーズンに、プリンストン・オフェンスをサムフォード大学で採用し、24勝6敗という素晴らしい成績を残してNCAAトーナメントに出場しました。翌年の1999年~2000年シーズンにはNCAAで年間を通して最高のFG%を残したそうです。このオフェンスはゴール下にスペースを作り、バックカットやバックドアプレイからレイアップが多くなったり、中にヤマをはると、外からのオープンシュートが多くなります。そのため、FG成功に対するアシストの割合も他のチームから観ると、桁違いに多くなるそうです。。。
今回ご紹介したかったのは、プリンストン・オフェンスもそうなのですが、この「1シーズンに1つ」と、「試合を観る」という勉強法の実践例です。情報化社会と呼ばれ、様々な情報が氾濫している中、日本でもある方から「昔だとボビー・ナイトのビデオなど、翻訳されているビデオが数えるしかなく、心あるコーチがみんなそのビデオを擦り切れるまで観ていた。最近は情報が多くなった分、逆にそういうように、一つのことを”擦り切れる”まで観たり、研究する指導者が少なくなった」、と。
今回のティレット・コーチのように、1日6時間試合を観たり、99ページものメモを残す。そのメモをさらにまとめ直す、などの地道な作業がやはり成功につながるのかと。。。
やはり勉強をする、というのは何よりも大切なのかな、と改めて感じたエピソードでした。もちろん自分の出来る範囲でですが、もっともっと勉強しようと心に誓った東頭なのでした。