最近、日本でも「プリンストン・オフェンス」という言葉を良く聞くようになりました。昨年のインカレでも九州の鹿屋体育大学がこのオフェンスでベスト8に躍進した、ということもきっかけとなっているようです。
もともとこのオフェンスは、ピート・キャリルというコーチが編み出したオフェンスです。ピート・キャリル・コーチは現在NBAのサクラメント・キングスでアシスタント・コーチをされていますが、1996年までの30年間はアイビーリーグの名門、プリンストン大学でヘッドコーチをされていました。
キャリル・コーチは今でもアイビーリーグの歴代最多勝コーチで、13回のカンファレンス優勝と11回のNCAAトーナメント出場を果たした名コーチです。1996年のNCAAトーナメントでは、1995年にNCAAで優勝したUCLAを、43-41で破るという大番狂わせを演じました。
このオフェンスは新しい物ではなく、むしろキャリル・コーチが長い間ずっと使い続けて来たオフェンスです。では何故最近(と言ってもアメリカでは10年以上前にかなりブレイクしていますが)になるまでこのオフェンスが注目を浴びてこなかったのでしょうか?その理由は大きく分けて3つあります。
1.アイビー・リーグの白人中心のチームで教えられていたこと:
ハーバード大学など、日本でいう東大クラスが属するアイビー・リーグに所属するプリンストン大学で使われていたこのオフェンスは、「運動能力の低い選手が運動能力の高い選手に対して使うスロー・テンポなディレイド・オフェンス」というイメージを強く持たれていたようです。時々大物食いがあって注目されても、所詮は「頭が良いが運動能力の低い白人チームのオフェンス」というイメージがあり敬遠されていた部分もあるようです。
2.選手に求められる基本技術が高い。
このオフェンスを発明したピート・キャリル・コーチは、このオフェンスのことを「全員がポイントガードをしなければならないオフェンス」と呼んでいます。具体的にはポストマン以外の4人は全てInterchangable(ポジションが関係無く、全員が全てのポジションの動きを覚えなくてはならない)で、ポストマンにしてもアウトサイドシュートや片手でのバウンズパスのスキルが求められます。これらのスキルを教えるのが難しい、と判断されて、他のチームからこのオフェンスの採用は見送られていたことがあります。
3.どれだけスカウティングしてもこのオフェンスを解明できない。
これがプリンストン・オフェンスが長い間、「大学バスケット界最大の謎」というように扱われ、他のチームが真似を出来なかった最大の理由です。その豊富なバリエーションと自由な動きから他のチームは、プリンストンがどのような規則にのっとって動いているか解明できませんでした。他のコーチからこのオフェンスについて尋ねられても、ピート・キャリル・コーチやそのアシスタントコーチ達が秘密を明かさなかったこともあります。
この奥深いオフェンスを解明した二人の人物がいるんです。。。
続きはまた次回。。。