勉強法(追記): プリンストン・オフェンスを解明した男③

いつもメッセージありがとうございます。

プリンストン・オフェンスと関係がありそうで実は勉強法シリーズの第3弾、今回はこのオフェンスを自ら解明した二人目のコーチのご紹介です。

ジム・バーソンというディビジョンIII(でもあまり聞かない)マスキンガム大学のヘッドコーチです。あまり有名では無いながら、実はコーチの中では有名で、1984年にUSAのオリンピック・チーム(ボビー・ナイト・コーチがマイケル・ジョーダンを金メダルに導いた伝説のチーム)にも関係していたそうです。

彼もまた毎シーズン勉強を欠かさないそうで、毎年毎年大学バスケットボールの名門校に勉強に行っていたそうです(「1シーズンに1つ」と「Always Learn From the Best」の心構えです)。ミシガン州立大のトム・イッゾ・コーチ、インディアナ大のボビー・ナイト・コーチ(当時)、シンシナティ大のボブ・ハギンズ・コーチ(当時)、などだけではなく、バーソン・コーチは伝説のケンタッキー大のアドルフ・ラップ・コーチ(歴代全国優勝回数第2位の4回を誇る名コーチ)などの所へも勉強に行っていたそうです。

ある年、彼はプリンストン大学に行き、教えを乞おうとしますが、ピート・キャリル・コーチは他の多くのコーチと同じように、簡単なテープと資料を手渡しただけだそうです。バーソン・コーチが他のコーチと違うのは、この資料を2年間勉強し続け(数百時間にも及んだのだとか)、プリンストン・オフェンスを解明した点にあります。

彼が解明したことにより、プリンストン・オフェンスは急速に広がっていきます。バーソン・コーチはケンタッキー大学のアドルフ・ラップ・コーチの下に勉強に行った際、「知りたかったオフェンスの資料を全て手渡してくれた」といいます。それにならって、自分も隠さず知っている情報は人に伝える、という信念を持っていたそうです。但し、誰にでも教える、という訳ではなく、「きちんと下準備をし、自分でできる範囲で勉強している人に限る」と言います。

バーソン・コーチに選ばれたコーチの一人が、ノースキャロライナ州立大学ヘッドコーチのハーブ・センデック・コーチ(現アリゾナ州立大学ヘッドコーチ)です。ノースキャロライナ州立大学はデューク大学やノースキャロライナ大学が属する強豪カンファレンスのACCに属する名門校で、運動能力の優れた彼らが上手くプリンストン・オフェンスを使いこなしたことで、「運動能力の低い白人のためのオフェンス」という固定概念が覆されたといいます。

後にNBAのニュージャージィ・ネッツも2001~2002年シーズンと2002年~2003年シーズンにこのオフェンスでファイナルまで進出しました。現在でもワシントン・ウィザーズがこのオフェンスを使っているのを始めとして、NBA、大学、多くのチームがこのオフェンスの要素を取り入れたプレイを採用しています。

ただ、いまやメジャーになったプリンストン・オフェンスも、一生懸命に勉強をして解明したコーチの努力無しではここまでメジャーにならなかったのです。こういう話を聞くと、やはり勉強が大切だと、思い知らされます。

今はDVDや書籍などで簡単に情報が手に入りますが、実際こうやって何百時間も時間を費やした人と比べたら、「うわべ」だけの知識になってしまうのでしょうね。。。やっぱりしっかりと試合を観て時間がかかってもこつこつ勉強して、自分の想像力を使っていろいろ考えて行く。。。それが大切なのでしょうか。