想像力を育てるコーチング

みなさん、こんにちは。

2日連続更新!

昨日報告した通り、先週三重県で講習会を行いました。

一日目午前のタイトルは「選手の想像力を育てるコーチング」。

皆さんはこんな心理学の実験を知っていますか?

二つのグループを作り、①のグループには独裁的リーダーを、②のグループには民主的リーダーをつけます。そして様々なグループワークをしてもらう。

その結果が面白い。

我々は「独裁的」とか聞くとすぐ「悪」と連想することが多いのですが、決してそうではないんです。「目的」別で結果が違ったんです。

独裁的リーダーがいた方は、軍隊的な作業、まさに北朝鮮の行進みたいなこととか、材料が指定して、「この材料でこの作り方でこれを作れ!」というような画一的な作業ではもう一方のグループより好成績を残しました。

一方民主的リーダーがいる方が、例えば「この材料で何を作っても良いです。独創的で社会の役に立つものを作ろう!」みたいな想像力を使う作業に好成績を残したというのです。

つまり、自分が選手に「想像力」を求めたい場面では民主的リーダーシップを、「規律」を求めたい場面では軍隊的リーダーシップを発揮すれば良い。。。

理論上ではこうなる訳です。

では、「独裁的リーダー」と「民主的リーダー」では何が違うのか?

それは「目的に到達する方法を誰が決定するか?」ということにつきます。

独裁的リーダーシップの下では、ある目的があり(積み木でタワーを建てる)、その方法(どうやって組み合わせてどの順番に何をどのように作るか)も指定される。メンバーをただ指示を忠実にこなせば良い。

一方民主的リーダーシップの下では、ある目的があり(積み木で何か作る)、その方法はみんなで考えるか、メンバーにまかせられる(何を作ってもいいよ〜。一番面白いアイデアを採用しよう!)。

NBAのコーチの中では「ディフェンスは軍隊的に、オフェンスは選手の想像力にまかせる」というスタイルのコーチが多いと聞いたことがあります。つまり、レブロン・ジェームスとかスーパースターでもディフェンスではチームルールを絶対に守り、逆にオフェンスでは選手にフリーダムを与える、と。。。

カットの方向、仕方をディフェンスに対応してではなく、コーチが指定したりすることってよくあります。それで先回りされたら「なんでそこに行くんだ!」と。「うちの選手は経験と能力がないから、想像力が無いんですよ。。。」と。。。

でもそれは「ディフェンスの反対をつく」という基本を教えるのではなく、「パスをしたらボールサイドカット」と決めつけてしまう独裁的リーダーシップに問題がある可能性もあり得る、と。

こう教えられた選手は例えまっすぐ切れるだけでレイアップにいけても、極端に先読みしてとんでもないポジションにいるディフェンスに向かってわざわざボールサイドを遠回りしてカットするようなバスケット的に不自然な動きをしてしまうことも実際にはある。

だから、ケースバイケースで使い分ける必要があるのではないか、と。

そんな提案をさせてもらいました。

挨拶や掃除などは独裁的に。ルールや順番をしっかり決めて遵守させる。

オフェンスなど、選手に自由にやらせたい場合は目的を明確にして、方法を極端に指定しすぎない方法もあります。特にアンダーのカテゴリーでは「それは難し過ぎる」とわかりやすく方法を説明するケースもあるようですが、最初に選手にやらせてみると意外に面白い動きをする選手もいたりします。

「○○の真似してみろ!」とか「○○くんカットをみんなで練習しよう!」とか言って、いつもやるようなドリルに入るのも、モチベーション的にも選手の想像力を育てるためにも一つの手段なのかな、と。

結局カットやドリルはするのですが、導入の仕方の手段の一つに。

もし参考になれば、ぜひ試してみて下さい。