Coaching Philosophy②

みなさん、こんにちは。

前回からの続きですが、もともとはコーチングって、「どれだけ細かく細分化して状況別に練習を組み立てられるか」と考えていた部分もあり、ドリルが多いタイプのコーチだったんですね。(今も多いけど(笑))

大学時代、アメリカではいつもESPNなどでシーズン中はひたすらバスケが観れるのでいつもたくさんのチームをみていましたが、その中で目にとまっていつも追いかけていたチームが3チームありました。

コーチK率いるDUKE大(とその対戦相手のACCのチーム全てなんですが、実際(笑))、知将リック・マジェラス率いるユタ大学(自分が在学中の98年にNCAAトーナメントで準優勝しました。モルモン教徒が多いユタ州で選手が在学中に2年間の”ミッション”と呼ばれる外国に布教に行くことも多く、チーム作りが難しい環境での快挙)、そして当時まだPete Carril氏がコーチをしていたプリンストン大学。

DUKEは、チームの一体感、そして自分と同じ身長で能力が低くてもチームを鼓舞するプレイでキャプテンとして活躍していたSteve Wojciechowski(現DUKE大AC)に憧れて、ユタ大学は白人中心でもしっかりとしたファンダメンタルと規律で勝ち進むスタイルが日本人にあっていると思ったから、そしてプリンストン大学は体の強く大きなユタ大のビックマンに比べて、細身で体も弱い選手ながら、かの有名なプリンストンオフェンスでバックドアを量産し、レイアップと3Pで効果的に得点するスタイルが、ユタ大学とともに日本人に大きなヒントになると思ったから、なんですが、アメリカにいた頃ずっと出ている本は全て読み、TV放映したものは全てビデオに録画して何度も繰り返しみていました。(今考えるとただのオタクですね(笑))

アメリカから帰国し、三菱電機にお世話になっている間にDUKE大学とユタ大学にコーチ留学を出来る機会に恵まれました。これも不思議な縁で日本で三菱でだけその2校に強いコネクションがあったんです。”縁”ってあるものだなあ、と思ったものです。

DUKEは基本的には練習は非公開ですが、現三菱電機HCのアントニオ・ラングコーチのはからいでシーズンの真っ最中にオフィスに出入りしてコーチ陣に質問したり、仕事ぶりを観察したり、練習やビデオを観る許可を頂き、ユタ大学でもアシスタントコーチにつきっきりでコーチMTGや選手MTGも観察する許可を頂けたんです。

実際にこの目で観るまではDUKEの選手は「能力があるからあの教え方、戦術で良いんだ」とか、ユタの選手は「能力が低いからガチガチに固めなくてはならない」と思っていたんです。そして、日本人は「能力が低いからガチガチに教えなくてはならない」と。つまり、考えられるドリルをとにかくやり尽くすべき、みたいな考え方ですね。

ですがユタ大学の練習を実際に見て、その後DUKE大学でコーチKのコーチングを見て、考え方がすっかり変わったんです。

あくまで個人的な感想ですし、リック・マジェラスの本もビデオも今でもかなり読み返すので誤解はしてほしくないのですが、すごくユタ大の選手が「不自然」に見えたんですね。Vカットの鋭さやスクリーンのスタンスなども完璧なのですが、どうしてもこう「不自然」な感じが自分にはしたんです。

対してDUKEでは選手がのびのびプレイしていた。それもフレッシュマンで能力はあってもまだ知識が無いような選手(ちなみにその選手はルオル・デンなんですが)もどんどん吸収して日々成長しているのが目に見えてわかったんです。コーチKがもしユタ大をコーチしたら、当時のメンバーのユタ大でも強くなる、はっきり理由はわからなかったのですが、そう感じたんですね。

DUKEのオフィスでは「アウェイゲームでいない時にこれを読んでおけ」と段ボール数箱に詰められた本とビデオを与えられました。とても古いものばかりで、コーチKのコーチングのふしぶしにこれらの本の「エッセンス」を感じたんです。でも全て伝えたりはしない。

ここでコーチングとは「自分の知っていること全てを選手に伝えることではない」とはっきりと認識することが出来たんです。

たまにコーチの方に講習会などで「なぜあそこは注意しないのですか?」と聞かれることがあります。

「そこが一番重要ではないと思うからです。」とか、「そこを注意することで、最前の結果を得られない可能性があるからです」と答えたりしていますが、そこを注意することが与えられた時間で選手が最も成長する最善の選択肢ではない、と感じたら注意しないことも多いんです。目についたこと全て注意していては選手に優先順位が伝わらないし、その選手のレベルによっても同じ内容を教えていても注意することやアドバイスする点も当然変わってくるべきだと、コーチKがフレッシュマンのルオル・デンを教えるのをみて感じたんですね。知っていることを全て詰め込めばよい選手が生まれるか、というとそうではない、と。

そこから、ちょっとずつ考え方が変わって来ました。(再度つづく)

この記事を書いた人

東頭 俊典

東頭 俊典

バスケットボールコーチ。 北海道出身。
現在はアースフレンズ東京Zヘッドコーチ