Always Learning From the Best②

みなさん、こんにちは。
いつもありがとうございます。

今回は「ステレオタイプ」について。
よくアメリカのバスケットについて語られる時、「アメリカ人はウォームアップをしなくても動ける」なんて聞いたことありませんか?
本当にそうなんでしょうか?

昔自分がアメリカから帰国したばかりの頃、ある外国人選手にこんな話をしたことがありました。
「日本という国のコーチングは体罰があるし、練習だって非効率で意味も無く長い練習をしているんだ」
多くの外国人選手やコーチは
「それは改められなければならない」
と、そういうのですが、この選手は
「アメリカにだって体罰はかつてあった。おれが若い頃、おれの大学だって意味もなく延々と練習していたんだ。(ちなみに彼はバスケットの超名門大学出身でした)別に日本特有のことじゃないし、日本人は頭の良い人種だからすぐにアメリカに追いつくさ。ちょっとしたきっかけと考え方の変化が必要なだけなんだよ。」
と言ったのです。
この人の言葉が帰国当初の自分が持っていた「アメリカ絶対志向」を変えるきっかけをくれた気がします。

ちょっとアメリカに詳しい人ならアメリカの大学は練習時間が限られていることをご存知だと思います。
大学の学業に差し障りの無いよう、練習時間だったり、何日に一回は休日を入れなければならないといったことを決められているんですね。
でもこの選手が言うには(あくまでこの選手が言うには、ですし、実際NCAAの規則をうまーくかわしている大学もあるのは見たことがありますが。。。)、
ちょっと前までは(20〜30年前)、アメリカでも別にみんながみんな効率的に練習していた訳ではなく、ながーく延々と練習していたそうなんですね。
そんな時NCAAが上記のように練習時間を厳しく取り締まり始めた。
だからそれまで結構ウォームアップやクールダウンなど完全管理されていたものが、選手の自主性に委ねざるを得なくなった、とそんな話を聞いたんです。

よくアメリカの大学に行くと「ウォームアップとかがしっかりしてない」と思われる方も多いと思います。
NBAなんて顕著ですよね。ウォームアップでは適当にレイアップラインをやってるだけ。
だからでしょうか?
「アメリカ人はウォームアップをしなくても動ける人種だ」なんて言われているのは。。。
でもそういう人は昔の自分と同じで上記のような歴史的背景を知らないと思うんですね。

もっと言うとNBA選手は試合の3時間くらい前からアリーナいりしてコーチなどとみっちりワークアウトしたり、ポジションによってはウエイトを使って筋肉に刺激を入れてから試合に出ているんです。ケビン・デュラントは普通のレギュラーシーズンの試合前も200本のシューティングをしていると聞いていますし、レイ・アレンは数年前のファイナルでレイカーズと対戦した時、試合前に800本のシューティングをした、と聞いたことがあります。
ちなみに日本ではJBL、WJBLともに試合前にそれだけのシューティングをしている人はいません。
会場の確保の問題や1人だけに専門のリバウンダーをつけられない等の環境の問題もあるかも知れませんが、それでもNBAの選手達、それもスーパースターがやっていることを我々日本人はやっていないんです。運動能力の高い選手よりも量が少ないんです。
トレーナーからのケアやストレッチはもちろん、入念な準備をした上のあのウォームアップとかレイアップラインなんです。

こういう「ステレオタイプ(先入観)」って多いと思うんです。
何かを見た時、一部の現象だけをみて結論づけてしまう。
「アメリカ人はウォームアップをきちんとしない」
「しなくても動ける身体の作りをしている」
「日本人は真似出来ない」=「学べない」みたいな。

そんなことは決して無い。

だからこそ上辺だけでなく、しっかりとLEARN FROM THE BESTする心構えって大切だと思う。
誰かの噂話や印象に振り回されるのではなく、自分の目で見、しっかり確かめてみること。
別にアメリカが全部正しいって言っている訳じゃない。
日本でもたくさん学べる場所はある。
でも自分が「無理」と思っている所に手を伸ばしてみる勇気って大切なのかな、と。
ふとそんなことを考えた夜でした。