Always Learning From The Best③

みなさん、こんにちは。
いつもありがとうございます。

今日は「ステレオタイプ(先入観)」の打ち破り方について。。。
何度か紹介させて頂いている昨年日本語にされて出版されたこの本

アテネ五輪のグループリーグでプエルトリコ、リトアニアに敗れ3勝2敗、決勝トーナメントでもアルゼンチンに敗れ、結局銅メダルを獲得したアメリカ代表の再建を託されたデューク大学のコーチKのストーリーです。

この頃、アメリカ国内のメディアも「最近のNBAのスターは”UNCOACHABLE”(コーチをすることが不可能)とか”愛国心が全く無い”(主力と目される選手が私的な理由などで辞退するケースが多かったため)」と報じていました。
選手側からすると代表に参加して怪我をしてもNBAでの報酬が補償されないことや、82試合というNBAの長いシーズンを終えた後の限られたオフシーズンが無くなってしまうこと、コーチ側からするとこのような理由で結局大会に向けて準備する期間が限られてしまうこと、また他国に比べユース時代からほぼ同じメンバーで切磋琢磨して「長期的」に作られた”チーム”ではなく、寄せ集め感のぬぐえないアメリカ代表は不利だという人もいました。

世界各国のバスケットボールのレベルアップも手伝って、いよいよアメリカ代表は「世界では勝てない」というレッテルが貼られ始めた頃に大学コーチに過ぎないコーチKがこれらNBAの”愛国心が無い”、”自分勝手な”スター選手達を束ね、アメリカにバスケットボールの誇りを取り戻す、という使命を請け負ったのです。

レベルは違いこそすれ、こういうことってよく言われることだと思うんです。
「日本人は愛国心に欠ける」とか「代表に魅力が無い」とか。
「アメリカ人は一生懸命プレイしない」とか「ウォームアップしなくても動ける身体の作りをしている」とか。
学校レベルだって、「最近の子供は”ゆとり”世代だから」とか「根性が無い」とか。
そういう”ステレオタイプ”って絶対身近に存在している。

じゃあコーチKはどのようにこの”愛国心が無い”、”自分勝手な”スター選手達を”魅力の無い”、”オフシーズンを潰すだけ”の代表活動に導き、北京五輪(本はここまでですが、その後2010年のトルコでの世界選手権、2012年のロンドン五輪でも)で金メダルを獲得したのでしょうか?

難しいことじゃなく、「王道」を進んだだけ、と自分は本を読んで感じました。
つまり、オフシーズンであれなんであれ、「国を代表する」ということがどれだけ誇らしいことか、「オリンピック」という場所がどれだけ価値のある場所か、真っ向からチームに訴え、選手の意識を高めていった。。。
アプローチとしては”REMIND”(思い出させる)していった形です。
当たり前と思われていることでもしっかりと言葉にして表現することで選手の意識を高めていった。
同じく国を代表して命をかける軍人を連れて来たり、以前国を代表したことのある選手などを連れて来たり。
他の五輪選手と交流する機会を持ったり、”誇り”と思えるような機会をどんどんと与え、経験させていった。。。

よく性善説とか性悪説とか言われるけれど、絶対的に”性善説”。
つまり、NBAのスーパースターでも”自分勝手ではなく”、”国を代表することに誇りを持っている”という風に接した。

これが逆に上記に述べた「ステレオタイプ」を信じた”性悪説”で接していたらどうなっていたでしょうか?
「お前達はたくさんの金をバスケットボールで稼がせてもらっておきながら簡単に代表を辞退するアメリカ国民としては考えられない自分勝手な男達だ」
「昔はみんな戦争に行くくらいの覚悟で国を代表していたものだ。お前達はそうした人達のおかげでバスケットボールの人気が上がり稼がせてもらっているのに感謝も出来ず自分の権利ばかりを主張している」
「金を稼ぎ過ぎ、文句ばかり言っているお前達は”UNCOACHALBE”だ」

こんな導き方で果たしてNBAのスター選手達が大学コーチについてきたでしょうか?
「絶対に無理」です。

これって「アメリカ人だから」なんでしょうか?
日本は「神風根性じゃなきゃダメ」なんでしょうか?
いや、そもそも「神風根性」って、「今の選手は勝手」とか「ゆとりは悪」とかいう”性悪説”なんでしょうか?
そうじゃない気がするんですね。

この本には本当にたくさんのヒントが隠されていると思うんです。
「アメリカ代表だから」とか「名門大学のコーチKだから」選手がついていった訳じゃない。
そこには確固たる「コーチ力」、つまり人を導く力があったからこそついていったのではないのか、と。
全く同じ方法では出来ない。
でも同じ原理、同じ哲学なら採用出来るのではないか、と。

コーチK自身、「成功にレシピや公式は無い」とこの本の中で言っています。
でも考え方や原理原則はこの本の中に一杯ちりばめられている。。。

機会があったらぜひ「コーチKだから」とか先入観無しに読んでみて下さい。。。

この記事を書いた人

東頭 俊典

東頭 俊典

バスケットボールコーチ。 北海道出身。
現在はアースフレンズ東京Zヘッドコーチ