レッド・アワーバック

1950~60年代にかけてNBAを支配した伝説のコーチ。

NBA優勝 9回、ボストンのフロントオフィスに入ってからも7回の優勝に貢献した名将。

先シーズンのレイカーズの優勝でフィル・ジャクソン・コーチが10回目の優勝を果たしたため、記録を抜かれてしまいましたが、ボストン・セルティックス時代の8連覇は今も破られていない金字塔となっています。

月刊バスケットボールで佐藤久夫先生が日本のバスケットの先駆者の方達からの話を連載されていて、毎月興味深く読ませてもらっています。同じように歴史から学びたい、ということでレッド・アワーバックについて書かれた本(洋書)を読んでみました。

彼は「ビクトリー・シガー」といって、試合が決まったと思うと試合中に葉巻に火をつけて吸い出すのだとか。今では考えられない行動ですが、彼の話し方や行動を観て感じていたイメージはとにかく「エレガント」というか悪い言葉でいうと自信たっぷりの「傲慢」な感じでした。

ビル・ラッセル(彼についてはまた後ほど)が書いた本の中で描かれている彼はそんな傲慢なイメージとはかけ離れたコーチの姿でした。気遣いの固まりで、全てを計算している、そんなコーチだったんです。

例えば、「ビクトリー・シガー」もヘビースモーカーだった彼がある試合で、安心感から思わずポケットから葉巻を出して吸おうとした。それを観た対戦相手のコーチが「侮辱だ」と激怒したのが始まりだというのです。それを観たアワーバック・コーチはその後、試合が終わる前の1~2分前でリードしている時にわざと「ビクトリー・シガー」をつける。そうすると相手コーチが怒り狂ってその後のタイムアウトでは「勝つための指示」ではなく、「怒りに我を見失った感情的な指示」しか出来ないそうなんです。だからわざと嫌味たらしくビクトリー・シガーを吸うようになった、と。最初は何も考えず、単に癖での行動が始まりだったと。

勝つために手段を選ばない、そういう一面も確かにある人なんですね。例えば、80年代の名選手、ラリー・バードに目をつけたアワーバック(当時はGM)は、彼が大学4年生でまだドラフトにエントリーしていない時にドラフトしました(当時のルールでは翌年のドラフト前までに契約が成立すれば合法だった。ただし、こういった前例は無く、おそらく誰もが考えなかったルールの裏をついた行為だったようです)。そして他のチームから糾弾されると、例の葉巻に火をつけて「ルールに触れることはしていない」と平然と言いふらす。。。そんな感じの人です。

こういった彼の行動から、「傲慢」というイメージを持っている人はアメリカにもすごく多いと思います。だから、彼のコーチングもきっと頭ごなしな、「おれの言うこと聞いていればいいんだ」的な物で、その分、戦術・戦略がすごいのだろう、と。そんなイメージを勝手に持っていました。

ところが、です。今回本を読んでみてそんなイメージは完全に覆されてしまったのです。。。

(明日につづく)

この記事を書いた人

東頭 俊典

東頭 俊典

バスケットボールコーチ。 北海道出身。
現在はアースフレンズ東京Zヘッドコーチ