Critical Thinking②

批判的思考法。

前提を疑ってみる。

そんなこと、最近気付いたことなんか振り返ってみようとふと思いました。

これ、最近なんですが、昨年から繰り返し書いてきた「日本人でもペイント内でシュートが出来る」って話について、自分の「前提」が間違っていた話があります。

「サイズの劣る日本人はインサイドでは勝負できない」

これ、一般的に考えられていることだと思うんです。いろいろな事例を出して、この前提は違う、ってこのHPでも繰り返し書いて来ましたし、同じように感じてきたトーマス・ウィスマンHCの下で働いてみて、やっぱりこの前提、見つめ直す必要があるって、実感することが出来ました。

でも、自分の中では、「フローター」とか、そういうショットじゃないと、ガードは勝負出来ないって、やっぱり思っていた所あったんです。それが、最近中学生や高校生、大学生などを教えてみると、そもそも相手との身体の寄せ方を知らない選手が多く、相手の足もとに入って、しっかり身体の幅を使えば、身長差があっても、そうそうブロックされるものじゃないって気付くことが出来ました。

きっかけはイランのガードの選手でした。

175cmくらい、スピードも普通。身体の強さだって、日本人が鍛えれば充分に届くくらいの身体です。そんな選手が210cmを超える中国人センターに堂々と向かっていく。ダブルクラッチやフローター、そんな曲芸を使わずに、どうどうとフィニッシュしてきたり、バスカンを取ってくる。

ちょっとずれるだけでいいんです。

考えてみれば、210cmもの人でチャージングを取るのが上手い選手を観たことは無いですし、175cmの人がまっすぐ向かってきたら、その人もどうして良いかわかりませんよね。そこで、フィニッシュの時点で、ちょっとだけよけて、肩にぶつかるようにして飛ぶとか、そういうちょっとしたズレを作って、あとはボールさえしっかりプロテクトして、身体の幅を使えば、充分にシュートは打てる。。。逃げていると追いかけてくるし、身体の幅も活かせないけれど、向かっていけば、相手も、引くかもしれないし、空中でコンタクトしてしまえば、逃げながら打つよりも、身体の幅を最大限活かせる訳で。。。

実際にU16のチームなんかはドイツのチームにも堂々と向かっていって、フリースローをもらっていましたし、全然勝負出来るんだな、って。

頭のどこかでアメリカ人みたいに、みんなフローターとか打てなきゃいけない、とか思ってたんですが、そうでも無いのかな、と。

一旦思いこんだ”前提”って怖いものです。

以前、島根のジェリコ・パブリセビッチコーチは、こういったフローターとかを嫌う、という話を聞いたことがあります。”やはりOld Schoolだから、最近のバスケットとかわからないのかな”みたいな感じで思ってしまっていた自分がいると思うんです。”日本人にはやっぱりそういう技術必要”だって、そう思う自分がいたように思います。

でも、最近は、まずは身体の幅の使い方や、インサイドでどうやって、相手との間合いをオフェンスファウルを取られずにつぶすか、それでいて、シュートまで持ち込むかって、スキルの優先が大切な気がしてきました。

今でも、フローターとかは使えるスキルだし、教えると思います。でも、ハンドリングが良いとか、条件付きで、教えることになる気がします。ある程度の身長がある選手に関しては、もっとオーソドックスにペイント内でのフィニッシュを教えるだけで良いような、そんな感じがしてきました。

そんな訳で、「前提」を疑ってみる、という作業、必要な気がします。

今、自分が思っている「前提」で覆されそうな物、たくさんたくさんある気がします。