イチロー選手とジョン・ウドゥン・コーチの意外な共通点

大学時代からずっと崇拝してきたジョン・ウドゥン・コーチ。1970年代にコーチとして引退された方の練習を観ることは出来ないので、とにかく彼の本を読み漁って来ました。彼は「成功」を題材にしていくつも本を書いていますが、彼の哲学を完全に実行しているアスリートが私達の身近にいます。。。

そうそれはシアトル・マリナーズのイチロー選手なんです。

DSC00815ジョン・ウドゥン・コーチとイチロー選手に関する本

イチロー選手に直接聞いたことなんて無いけれど、日本で野球をやっていた彼がどう考えてもアメリカの大学のバスケットボール・コーチであるジョン・ウドゥン氏の哲学をどこかで聞いたことがあるなどは考えづらいと思います。つまり彼はウドゥン・コーチと同じく、この「成功の哲学」に自分でたどり着いたんだと思うんですね。

二人の本を読んで共通しているのが、とにかく「今、この瞬間に自分のできることに集中すること」「自分のコントロールできないことに気持ちを(=パフォーマンスを)乱されないこと」「最高の自分になるためにするべき準備を考えうる限り全て行うこと」なんです。イチロー選手がホームゲームの日はいつも弓子夫人の作り置きした同じ味のカレーを食べて、同じスケジュールで球場に向かい、同じルーティンでゲームに臨むのは有名です。ネクストバッターズサークルからバッターボックスに向かう時も、バッターボックスに入り、いよいよ相手のピッチャーと対峙する時も毎回同じルーティン。朝日新聞に掲載されたイチロー選手の特集で、チームメイトの城島選手の話が載っていましたが、球場でスロープと階段が併設されている所では、イチロー選手は絶対に階段を歩かないそうです。スパイクだと滑りやすく階段を踏み外して怪我をする恐れがあるから、とのこと。このように「最善を尽くすためにできることや準備を徹底する」という哲学がにじみ出ているんですね。

一方のウドゥン・コーチも成功の定義を、

“Success is peace of mind which is a direct result of self satisfaction in knowing you did your best to become the best that you are capable of becoming.”

複雑ですがあえて直訳すると、

”成功とは、自分がなりうる最高の自分になるために最善の努力をしたということを知っているという自己満足から来る心の平安にある”

としています。わかりづらいですが、ようするに「なりうる最高の自分になるために最善の努力をする。結果はどうなるかわからないが、自分に言い訳の無い状況までしっかりと準備できた時に訪れる心の平安こそが、成功なのだ」という意味のようです。

ウドゥン・コーチは毎年大学に新入生が入ってくると足のサイズを測り、それぞれのサイズにあった靴を与えていたそうです。これはメーカーによっても靴のサイズが違う可能性もあるし、特に育ちざかりの10代だと親があえて大き目の靴をはかせる傾向があるから、だそうです。少しでも靴のサイズが違うと、彼が求めるスピードとカットの多いプレイをするとすぐに靴ずれを起こしてしまい、最高のパフォーマンスを出せない。だから、靴のサイズを測り、適正なサイズの靴を与える一方で、大学生のもなる大人に靴下の履き方を一から指導していた、というのです。靴下をしっかりはかないと水ぶくれが出来てパフォーマンスが落ちるから、とのこと。

全米で名だたるトップの高校生達がフレッシュマンとして集まってくる。今でいうレブロン・ジェームスとかコービー・ブライアントクラスの選手が大学に入ってきて、彼らに靴下の履き方から教えていた訳です。

NCAAで前人未踏の12年間で10回の優勝と全国優勝7連覇を果たしたジョン・ウドゥン氏。ちなみに2番目はケンタッキー大学のアドルフ・ラップ・コーチで通算優勝回数4回、最近引退したテキサス工科大学(元インディアナ大学)のボビー・ナイト・コーチ, 現デューク大学のマイク・シャシェフスキー・コーチがそれぞれ通算優勝回数3回。連続優勝は他のコーチは2連覇が最高となっています。これらのデータで比較すると歴史上、ジョン・ウドゥン氏がどれだけ抜きんでたコーチだったかがわかります。一方で、262本のシーズン最多安打、9年連続の200安打と、様々な記録を打ち立て続けるイチロー選手。

日本とアメリカ、野球とバスケットボールと、違う国で生まれ、違うスポーツを愛する二人の成功哲学は本当に類似した物なんです。。。ジョン・ウドゥン氏の哲学を忠実に実行するとイチロー選手になる。これがアメリカから帰国してイチロー選手の本を読んだ時に感じた最初の印象です。以来、二人に関する著書を読みあさって来ましたが、読むたびにこの印象が確信に変わっていきました。これには本当に驚きです。。。違うスポーツでも、コーチと選手という違う職業でも、圧倒的な実績を残した二人が、奇しくも結果にばかり集中するのではなく、準備を最も大切にしている。。。”成功のルール”というか、”黄金の原則”がきっとこの二人の哲学や生き方から学べるのだと思わずにはいられません。

この記事を書いた人

東頭 俊典

東頭 俊典

バスケットボールコーチ。 北海道出身。
現在はアースフレンズ東京Zヘッドコーチ