GBNセミナー 〜デビッド・ブラット氏〜 伏線:2010年 トルコ世界選手権での衝撃

みなさん、こんにちは。
今週末5/30,31開催の #GBNセミナー 講師のデビッド・ブラットさんと自分には、ここに至るまでにもいろんな縁があって、その話をしてみようと思います。

2010年世界選手権での衝撃

話は2010年~2012年まで自分は日本バスケットボール協会の専属バスケットボールコーチとして在籍させていただいていた頃に遡ります。その時の自分の役割はアンダーカテゴリーからA代表まで全てのチームでアシスタントコーチとして、縦の繋がり、「一貫性を作る」ということ。また、早くから「将来のA代表候補を見つける」ことでした。当時のヘッドコーチのトーマス・ウィスマン氏から言われていたのは、『A代表に入ってからコンバートが行われてサイズ不足で悩む日本人の課題について』『アンダーカテゴリではどのように育成をされているか』を、トップダウンで教えるのではなくしっかりリサーチをしてほしいということと、とにかくよい人材を発掘してくれということでした。当時のアンダーカテゴリーには、まだ若かった富樫勇樹選手(15)、渡邊雄太選手(17)などがいました。この選手達をA代表に抜擢することをウィスマンコーチに進言して無事に二人はA代表経験を積み、その他にも名前を上げていたのは角野亮伍選手や馬場雄大選手などでした。

オリンピアコスでの一枚

そういった協会の任務の一貫で、2010年トルコで行われた世界選手権に(自分たちは出場できませんでしたが)ウィスマンコーチとアシスタントの自分の2人で「世界の最先端のバスケットボールを見てきなさい」と協会から派遣されたことが今回のセミナーの一つの発端でもあります。初めてみる世界のバスケット。目の前では自分が今まで見たことのないバスケットが繰り広げられていました。10年前はまだwifiもままならない時代で、海外のバスケをみようにもバッファリングが酷く、運が良くないと観られない状況。それに加えて、今のBリーグのコーチたちもそうだと思いますが、シーズン中はスカウティングなどで時間を取られ、オフシーズンはリクルートやキャンプなどでとにかく海外のバスケットを観ていなかった。だから世界選手権を目の当たりにした時は衝撃でしたし、自分がいかに無知で日本のリーグのバスケットと国際大会がどれだけの差があるかをまざまざと見せつけられた感じでした。

世界はもう既にピック&ロールはスイッチで守ることが多く、しかもそれに対するカウンターのオフェンスも確立され、高いレベルで遂行されていた。日本でスイッチが出始めるのはその後8年くらいかかってからでした。スペーシング、アクション、ディフェンスのレパートリー、全てがあまりにも違っていた。本当に田舎者が初めて東京の交通網を観た、くらいの衝撃でした。そんな中、一際輝いていた代表チームがロシアで、その時のロシア代表を率いていたのが、今回講師をしてくださるデビッド・ブラットさんだったのです。彼は当時、もう既にロシア代表を率いて10年目くらいになっていました。その年に優勝したアメリカとは確か準々決勝くらいで戦っていたのですが、あわや勝つのではないか?というくらいの大接戦を繰り広げていて、本当に素晴らしい試合でした。緻密なオフェンスに、意表をつくサイズのあるチェンジングディフェンスで相手を撹乱。プリンストンオフェンス(ブラットさんはプリンストン大学出身)のバリエーションも使っていて、とにかく面白かった。通常、代表チームというのは準備期間が短いので熟成したオフェンスはできないことが多いのですが、そのオフェンスも非常に動きのあるおもしろいバスケットボールをしていて、チェンジングのディフェンスも素晴らしかった。そういった面や戦術やコーチ術に非常に長けているという点でも、ロシア1チームだけ群を抜いているなと印象を持ったことを覚えています。当時ブラッドさんのことを調べた時に、彼は10年程ロシアのコーチをしていましたが、確かまだ50代初頭くらいの年齢だったと思います。当時32歳くらいだった自分は、まだアメリカに戻って大学院にいこう、という気持ちもあったのですが、トルコという街で圧倒的な存在感を見せていたデビッド・ブラットコーチを観て、自分の国のために尽力するというのは素晴らしいことなんじゃないか?”と感じたのです。大学院に行って、NBAだったり、NCAAだったりで働く、という道を目指すことも一つだけれど、世界5大陸の様々な国々が多種多様なバスケットを繰り広げるあの空間でこれまでバスケットをやっていて感じたことのない”ワクワク感”を感じたのを今でも鮮明に覚えています。そしてそこで、最高に光り輝いていたのがブラットコーチだった。たくさんの戦術を駆使して、相手を翻弄する姿にものすごく魅了されたのでした。

〜次記事に続きます

(東頭コーチ談 スタッフ書)

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