結果主義と過程主義①

野球選手のイチローとUCLAの伝説的なコーチ、ジョン・ウドゥンが「準備を最も大切にする」という共通の”哲学”を持っていることを以前ご紹介させて頂きました。(「イチロー選手とジョン・ウドゥン・コーチの意外な共通点」参照)

それぞれの分野で最高の結果と実績を誇る二人が実は、“結果”ではなく、”過程”を大切にしている。。。二人の酷似した哲学が成功の源ではないか、そんな投稿をさせてもらいました。では、「優勝」とか「全国大会出場」などの“結果”を目標とすることは間違っているのでしょうか?

まずは誤解の無いように説明させてもらうと、イチロー選手にしても、ジョン・ウドゥン・コーチにしても、類を見ないほどの「負けず嫌い」で有名です。英語では「Competitive(「競争心旺盛な」という意味)」という言葉が使われます。二人の著書を読むと、イチロー選手は自分で負けず嫌いである、と認めていますし、ウドゥン・コーチにしても若い頃に試合に負けた後、どうしても審判のジャッジに納得が行かず審判を突き飛ばしたことがあったそうです。

(*注釈: ウドゥン・コーチは信心深く、「神様のような」存在として考えられています。このエピソードはある本で読みましたが、何冊か本を読んで来た中で作り上げられたウドゥン・コーチのイメージからは全く考えられない行動で、かなりびっくりしました。)

二人に共通しているのは「無類の負けず嫌い」ということなんですね。その二人が二人とも「結果(数字)にこだわらない」というスタイルを通していますが、それは決して「勝ちたくない」ということには繋がらないようです。推測の域を超えませんが、むしろ「勝ちたい」という思いが強すぎてパフォーマンスに影響を与えたり、試合前後の準備や反省に気持ちが行かなくなるのを抑えるために、まるで自分に言い聞かせるように「結果にはこだわらない」というスタイルを貫いているようにすら見えることがあります。

上記の話はあくまで私見ですが、とにかく二人が「勝ちたい」と思っていない、ということは全くありません。まずはこのことは皆さんにご紹介しておきたいと思います。次回は、結果主義と過程主義をスポーツ心理学の視点から考えていきたいと思います。