結果主義と過程主義①

練習や準備を強調する過程主義。勝利は日々精進するために積み重ねた努力の”副産物”に過ぎず、”勝つために”とこだわるよりも、自分の出来ることをしっかりと極める方がかえって良い成果を招く。

このような考え方で成功を収めたアスリートやコーチはたくさんいます。

一方で、「徹底的に勝ちにこだわる」「”勝つ”という目標以外は考えられない」といったアスリートやコーチがいて、それらの人達が成功を収めている例もあるのは事実です。結果主義と過程主義、本当はどちらが良いのでしょうか?

これにはその人の考え方やおかれた状況もあると思います。例えば、能代工業のような高校で、新しくヘッドコーチになって「おれは勝ちにはこだわらない」と言っても、選手達に自信が無いのではないかと思われたり、周りからも「大丈夫かな?」と思われたりするかも知れません。もちろん個人の考え方もあるでしょう。今日はスポーツ心理学の観点からちょっとこの結果主義と過程主義のことを考えてみます。

具体的には「目標設定」が関わってくるようですが、これはまたそのうち。

シンプルに話すと、結果主義では、短期間のモチベーションアップを図る、ということはできるそうです。逆にモチベーションの持続に難があると。

例えば、「県大会優勝」という目標を掲げたとします。この場合、例えば今シーズンは決勝で、ライバルチームに大敗したため、来年こそはそのチームに勝ってやる!と思えば、特に負けた直後はモチベーションは上がります。ところが一年という長いスパン、そのモチベーションを維持することは「県大会優勝」と何度口にしても難しいようです。

それに対して、過程主義では、例えば「しっかりルーティンをこなす」「練習を毎日全力で出来るよう最善の準備をする」という自分自身の出来ることにフォーカスをします。この場合、相手チームのパフォーマンスや自分のコントロールできない外的要因に影響されることが少なくなるので、「自分のパフォーマンスを向上する」というメリットはあるようです。デメリットとしては、目標の設定を間違うと、本来の目的からぶれてしまう。極端な例をあげれば、「ディナイをしよう」と頑張っているプレイヤーが目の前にボールが転がっていても取りに行かずにひたすらクローズドスタンスを取り続ける。。。こんなシーン、たまにみかけますよね?ディフェンスの本来の目的である「相手のポゼッションを奪う、もしくは相手により難しいシュートを打たせる」という目的を忘れ、ディナイをすることが目的となってしまう。。。

つまり、どちらもメリット・デメリットがあるようです。どちらを信じるにせよ、そのメリット・デメリットをしっかりと理解し、使いこなす必要があるようです。

以前、「イチロー選手とジョン・ウドゥン・コーチの意外な共通点」でこの類稀な成功を収めた二人が同じ成功哲学を持っている(過程主義)と紹介しました。では、結果主義で成功しているケースはどのようにしているのでしょう?次回はその辺にせまってみたいと思います。