【質問回答】〜自分に”自信”を持つには?①〜

みなさん、こんにちは。今回もいただいた質問にお答えします。

『自分のコーチングに対して自信がない。そういう時はどうしたらいいですか?』

自分より他のコーチが教えた方がうまくなるんじゃないか、と思ってしまう。自信がない。ということで話をもらいました。

今回僕から伝えたいのは、前の記事にも出てきたUCLAのジョン・ウドゥンコーチの本に書いてあったこと。自分は彼のことをすごく尊敬しています。僕が20歳の時にアメリカでバスケットをやっていた時のこと。当時在籍していたチームはディビジョンIIIでしたが、すごくいいチームでしたし、日本で大した実績も無かった自分には本当に大変でした。バスケットはもちろん、英語が分からない、身体も小さい・細い、戦術も高度で知らないことばかり…という状況で、206cmでも180cmの自分よりも3Pもドリブルも上手い、という選手(後に彼はNBAのキャンプにも呼ばれスペインの1部リーグでスタートを張るような選手になりました)もいたりと、毎日悶々としていた時もありました。そんな時にたまたま本屋で手に取った本がジョン・ウドゥンコーチの本で、タイトルが「Wooden A lifetime of observation and reflections on and off the court」(邦名「育てる技術」)でした。

残念ながら全文を綺麗に翻訳されている訳ではありませんが、日本語訳もかなり良書です。その本の中に書いてあったのが「成功の定義」で、その考えが当時の自分にとてつもなく大きな影響を与えてくれたのです。

“成功とは自分がなりうる最高の自分になるために出来る

   全てのことをやり切ったという自己肯定感から来る平穏な心である”

当時の時自分は英語を理解するため、いわゆる日本人村から離れ、寂しくも必死に英語を身に着ける努力をしていましたし、身体の弱さを少しでも補うために毎日ウエイトのトレーニングを行い、食事も大きく変えました。バスケットの練習も朝早くからシューティングをし、練習後も誰よりも行なっていた。どれもすぐに結果が出るものばかりじゃないけど、「やれること」は全てやっていた。でも英語が聞き取れないで間違えたこともあったし、色々力足らずのところもあったし、中には心ないことを言われることも頻繁にありました。だから「もう辞めた方がいいのかな」と毎日考えたり、毎日悩んでいました。そんな時、たまた手にした本の中のこの考えに出会って、「やれること」は全てやっている。「じゃあ足りないのは何だろう?」と自分に問いかけた時に、「自己肯定感と平穏な心だけだ」と気づいたんですね。どんなにやってもどんなに努力しても成果が保証されない、というのがスポーツの世界です。勉強はある程度努力すればついてくるものがあっても、シューティングとかっていうものは1000本打っても100本しか打たない人よりも入らないこともあるかもしれないし、行なった全ての努力が必ずしも実る訳ではない。ただ、大切なのは自分自身にしっかり自信を持つとか、努力している自分に対して不必要に自分を責めない平穏な心でいられることなんだと20歳の時に学んで、随分と取り組む姿勢が変わりました。卒業時にはコーチから「このロッカーにいる誰かが、ショーンが在学時代に伸びたくらい上手くなることができたら、NBAにいける。学業はもちろん身体もバスケットも全てのレベルが入学時から格段に変わった。成長する、というのはこういうことなんだ。」と言われるまで成長できたのは2年生の時に出会ったウドゥンコーチの言葉のおかげだと思っています。

今でも迷ったり自信がなくなった時には、今やれることを全部しているか?とか、人のせいにしていないか?、ということは常に自分に問いかけるようにしています。その上で自分がしっかり自分を信じてやれていると思った時は高い自己肯定感を持つこと、平穏な心でいること。また同じように自分にしっかりベクトルを向けて「やれること全て」をやっている選手、スタッフに対しては、同じような話をします。経験的にはまだまだ「やれることをやっているつもり」の若者の方が多いですが、その場合は「まだまだ伸びしろがある」と伝えるようにはしています。自分で「これで頑張っている」と思ったら、そこが限界になってしまう。もっと高いところを目指してごらん、その業界のトップを見てごらん。

だから今いるチームが好きなのは「世界」を常に意識していること、またそこに実際行かせてもらえるチャンスがあることです。

コーチをしていても選手をしていても、普通に仕事をしていても、迷ったり、自信を無くすことはあるかも知れませんが、そんな時はウドゥンコーチの「成功の定義」を思い出してみてください。

(東頭コーチ談 スタッフ書)