Rick Majerusのコーチング ~”呪文”編~

さて、今回もRick Majerusコーチの指導方法についてです。前篇も是非読んで下さいね。

今回は彼の”呪文”とも思えるような、専門用語を使ったコーチングについてです。彼が相当細かい指導をしていることは前述しました。いちいち説明していては、練習が滞りますね。そこで彼は徹底的に専門用語を使います。11月に書いた「専門用語いろいろ」でも話をした通り、カットの名前はたくさんつけたり、ピック&ロールをPOBと呼んだり、簡略化していることはさほど特記することでも無いと思います。ですが、彼のすごい所は、セットプレイや、ディフェンスの仕方なども専門用語化してしまっていることです。

例えば:

ディフェンスでは、「つま先へ3」「つま先へ2」「つま先へ1」と言った表現を使います。これはボールマンディフェンスの間合いのコードです。

「つま先へ3」・・・相手のつま先から3歩下がった所でつく。(つまり、「相手はとても速く、ドライブが得意」ということ)

「つま先へ2」・・・相手のつま先から2歩下がった所でつく。(基本の距離。だいたいワンアームアウェイと同じくらいの距離です)

「つま先へ1」・・・相手のつま先から1歩下がった所でつく。(「相手の選手はシュートモーションが非常に速く、間合いを与えてはいけない」ということ)

また相手オフェンスプレイヤーのスカウティングでも以下のような表現をします。「3Pから3」「3Pから2」「3Pから1」。これはシュートレンジになります。

「3Pから3」・・・3Pラインから3歩下がった所以上遠いレンジからでも3Pを高確率で決められる。(NBAレンジからでもどんどん打てるシューター)

「3Pから2」・・・3Pラインから2歩下がった所くらいからでも3Pを高確率で決められる。(そこそこ遠くても打ってくるタイプのシューター)

「3Pから1」・・・3Pラインぴったりでなくてはシュートを打ってこないプレイヤー。

選手達は、「相手へのつき方(つま先へ1~3)」と「相手のシュートレンジ(3Pから1~3)」を頭に入れて、ディフェンスをする必要があります。

Aチームのジョン(仮名)という選手は、「3Pから3」で「つま先から1」で守る。というと、ジョンは目の前が空いていたら、どんなに遠くてもどんどんシュートを打ってくるタイプなので、常にタイトにディフェンスをする必要がある。

Aチームのマイク(仮名)は、「3Pから1」で「つま先から3」で守る。この場合は、マイクは外のシュートよりも、ドライブが得意な選手であると。間合いを多少取っても良いが、絶対にドライブをさせてはいけない。

とこういう風になっているようです。

ジョージ・カールやデル・ハリスとも仲の良いコーチで、NBAでもこういう風な表現をするチームがあるそうです。

試合中の指示は確かにシンプルになりますよね。

シューターに簡単にノーマークで入れられたら、「3Pから3」「つま先から1」だ!と叫べば、「もっと足元によって、簡単に打たせるな!」となる訳ですから。相手にもわかりませんし、つま先から1歩というと指示も具体的ですし。

こんな例もあるそうです。

この記事を書いた人

東頭 俊典

東頭 俊典

バスケットボールコーチ。 北海道出身。
現在はアースフレンズ東京Zヘッドコーチ